子ども新聞の和訳記事です。モニターに囲まれている生活について。

モニター


元記事 → Les écrans expliqués aux enfants | 1jour1actu - Les clés de l'actualité junior 4 janvier 2013

Trop d’écran, c’est pas vraiment bon !
たくさんのモニター、それは本当によくありません。


テレビ、パソコン、ゲーム、電話・・・このような機器にはぜんぶモニターがついています。毎日、大勢の子どもたちが長時間、こういったモニターの前にずっといます。テープでくっつけてあるかのようです。問題ありでしょうか? シグマン博士の答えは「イエス」です。説明します。

なぜこれがきょうの話題なのでしょうか?
医療雑誌に英国の医者で、小児科の専門家のシグマン博士のモニターに関する研究が発表されたからです。

きょうのニュース
ちょっとしたなぞなぞです:テレビでハリーポッターの映画を見ることと、携帯電話でアングリーバードのゲームをすることの共通点は何でしょうか?

答え:両方ともモニターを使います。見たところ、何の問題もないように思えます。しかし、シグマン博士によるとモニターの前で過ごすことはとても危険なことになりうるのです。

このイギリスの研究発表は正確にいうと何を示そうとしているのですか?
生まれてから子どもたちがモニターの前で過ごしている時間に注目してもらいたいのです。これはもちろん平均値です。というのも、テレビを見ず、パソコンをしない子どももいるからです。

この研究によると7歳の子どもがモニターの前で過ごした時間は平均して一年間です。この一年間は昼も夜もずっとモニターの前にいたという計算です。18歳になると、その値は3年間になり、80歳のとき、18年になります。

なぜ、このモニターの問題が現在起きているのですか?
モニターの前で過ごす時間が増加しており、またこの傾向は止まりそうにないからです。テレビ、コンピューター、ゲーム機、携帯電話、そして最近ではタブレットもありますね。そういうもののモニターがあなたたちの日常生活の一部をなしているのです。

フランスのインセと呼ばれる団体の研究結果によると、フランス人は仕事をのぞいてモニターの前で平均2時間30分過ごしています。インターネットをやる時間は10年間に2倍になりました。

モニターの前に長時間いるとどんな問題があるのですか?
シグマン博士によるとモニターが問題なのです。というのも、モニター上のことが、大人や子どもの心を独占してしまうからです。人は実際に孤独になり、動かなくなり、受動的になるという傾向を見せています。

遊んだり、読書したり、友だちと話をすることに時間をとらなくなり、スポーツや、刺激のある行動をしたり、活動的に過ごすことを忘れてしまいます。そしてこれは憂うべきことです。というのもこういう活動は正常な成長のための健康な生活に貢献しているからです。

このお医者さんの提示した解決策は何ですか?
シグマン博士はすべてのモニターをなくせとは言っていません。彼はいくつか助言してくれました。まずずっとモニターを見なくてもすむように、子どもの寝室からテレビとコンピュータを全部取り除くことを勧めています。

また3歳以下の子どもにはテレビもコンピューターも見せないようにします。最後に、全員にもっと活動的になるために、少しモニターから離れるように勧めています。

さて、あなたはモニターの前に長時間いるほうでしょうか? そのせいで、ほかのことができなくなっていませんか?


■きょうの単語 écran (テレビ、パソコンなどの)画面、ディスプレイー、モニター

初めはécranは熱や光をさえぎったり、弱めるための衝立でした。オランダ語の「スクリーンや格子」という意味の« sherm »が語源です。

時がたつにつれて、この言葉の意味は広がりました。écranはまた、人が見られないようにするためのものや、目をまもるために間にはいる物でもあります。

映画の映像をうつすものや、絵を見たり、文を読んだり、メッセージを送ったり、ゲームをしたりする物でもあります(テレビ、携帯電話、コンピューター、ゲーム機)。

écranはテレビ (le petit écran) や映画(grand écran)の意味でも使われます。紫外線から肌を守るクリーム (écran total)という意味もあります。日焼け止めクリーム:écran solaire


※単語メモ
pour ne pas dire ~と言わないまでも
devinette なぞなぞ
a priori 先験的な、(分析なしで)直感的な
à haute dose とても、大量に⇔à faible dose
en l’espace de+時間 ~のあいだに
en dehors de leur travail 仕事をのぞいて
accaparer 独占する、(感情などが)心、頭を占める


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BBCに同じSigman博士の研究に関するニュースがのっています。
BBC News - Childhood 'screen time': Warning over TV and computers

簡単に要旨を書いておくと、

子どもがスクリーンを見る時間は塩やアルコールと同様、制限するべきである。そうしない両親は、おだやかなネグレクト(育児放棄という名の虐待)をしてるのと同じ。

子どもたちは家に平均5つのモニターを持っており、しばしば、一度に二つ以上使っている。たとえば、スマートフォンとテレビ。

座りっぱなしの生活が糖尿病、心臓病を誘発する。

脳の発達にもかかわる。ゲームをする人の脳としない人の脳は違う。しかし、ゲームをするから脳が変わるのか、ある一定の脳の構成がゲームという行動に向かわせるのかはわかっていない。

脳にあるreward circuitryというのが変えられる怖れがあり、そうなると、依存性が強くなる。

この博士がすすめるモニターを見る時間
3歳まで:まったくなしかほんの少し
7歳まで:最高1時間半
18歳まで:最高2時間

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両親に子どもがモニターを見る時間を制限しろと言ってますが、その両親からして長時間モニターを見てますから、子どもを制御することなんてできないでしょう。人は自分がやりたいことはなんだかんだ理屈をつけてやりますから。

コンピューターゲームが脳に影響があるらしいのは以前から言われてます。べつに専門家に言われなくてもからだによくないのはわかります。ものすごく光ってるし、いろんなものがすごいスピードで動いてるから、目を痛めるためにやってるようなもんです。

ここ数年でモニターが私達のまわりに文字通り増殖しています。こんなことは今までなかったし、これからどうなるのか末恐ろしいです。

かく言う私も、テレビは全く見ませんが、パソコンのモニターの前には長時間いるので、今年はもっとアナログな活動を増やしたいと思っています。