「途方」は「てだて、方法、手段」。これはいろんな方向への途(みち)ということですね。「暮れる」はもともとは「暗くなる」から派生した言葉。つまり日が落ちて、暗くなって一日が終わることが「暮れる」。
そこから季節や年月が終わりに近づく「暮れる」という意味になりました。反対語は言うまでもなく「明ける」。
また、同じことを繰り返すことを「明け暮れる」といいます。日が明けても、暮れてもブログばかり書いている、とか。
そして悲しい気持ちのまま暮らすことを「悲嘆に暮れる」と言います。
ようするに、日や年月が終わるか、そういうふうに時間を過ごすことを「暮れる」というわけですね。
でも、この考え方でいくと、「途方に暮れる」って説明できないと思いませんか?「途方が終わりつつある」わけでもなく、「途方で時間を過ごすわけでもない」のですから。
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きょうの単語:désemparé : 途方に暮れた
その、悪いニュースを聞いて私はすっかり途方に暮れている。
Cette mauvaise nouvelle me laisse complètement désemparée !
無生物のニュースが主語。désemparée にEがついているので、女性です。

Après son divorce, il est tout désemparé.
離婚後、彼はまったく途方に暮れている。
mauvaise 悪い (普通 名詞の前)
nouvelle 知らせ
J'ai reçu une bonne nouvelle. いい知らせを受け取った。
laisser (痕跡、思い出などを)残す
Ce voyage nous a laissé un souvenir impérissable.
その旅行は私達にいつまでも消えない思い出を残した。
*きょうの活用
laisser ; indicatif présent
je laisse
tu laisses
il laisse
nous laissons
vous laissez
ils laissent
en laissant
en ayant laissé
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「途方がなくて暮れる」ならわかるのですが。
もしかして、「途方がなくて暮れる」と何度も言っているうちに「なくて」が「に」になったのでしょうか?
この「に」の用法がわからず、ちょっぴり途方に暮れました。
一応、「に」という助詞の用法をこちらで確認。
こちら⇒「に[格助・接助・終助・並助]」 の意味とは - Yahoo!辞書
各助詞、接続助詞、終助詞、並立助詞として、全部で用法が20個以上あります。一つ一つ見ていきましたが、「途方に暮れる」の「に」の用法らしきものがありません。
各助詞14番の「動詞に付いて状態・内容を表す」というのが近い気がするのですが、「途方」だけだと、やっぱり意味が通りません。
う~ん。英語やフランス語でこういうふうに意味が通らない表現は「イディオム」として対処しているのですが・・
これもイディオム?
最後に私の好きな歌をご紹介します。
このちょっと古風な言い方を歌のタイトルにしたのは、詩人の銀色夏生。そのセンスに感嘆します。
4分56秒
※YouTubeで見る方はこちらから⇒そして僕は途方に暮れる / 大沢誉志幸
歌詞はこちら⇒そして僕は途方に暮れる - 大澤誉志幸 - 歌詞 : 歌ネット
曲のアレンジもとってもいいですね^^
☆よく途方に暮れるあなた、
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